医学部受験情報

私立医学部受験と他学部受験の違い

私立医学部受験と他学部受験は受験戦略において大きな違いがあります。
ここではその違いと私立医学部受験生がどのような方針で勉強を進めるべきかをお伝えします。

他学部受験生の受験戦略

一般に他学部受験では60~70%の得点率が合格の目安となります。
英語、数学、物理、化学の4科目であれば60×4で240点くらいが合格のボーダーラインとなります。
例として英語が得意で物理が苦手な生徒がいるとします。
この生徒が英語で80点取ることが出来、数学・化学がボーダーラインの60点を確保できれば、苦手な物理は40点でも合格になります。
さらに数学で70点取れれば、物理は30点でも合格です。
よって他学部受験生は得意科目に力を入れて、苦手科目はほどほどに勉強するという方向性で受験に臨んでも合格は可能です。
極端に得意な科目がある生徒は上記のような受験戦略で偏差値以上の大学に受かるケースも実際にあります。

私立医学部受験生の受験戦略

一方私立医学部を志望する受験生の場合はどうでしょうか?
私立医学部受験は他学部受験に比べると合格ボーダーラインが高いです。
他学部が4科目60点平均の240点で合格可能とすれば、私立医学部は4科目70点平均くらいが合格ボーダーラインとなります。
これが何を意味するかというと、得意科目での貯金が容易でない事を意味します。
苦手科目で20点ボーダーに足りないとすると、得意科目で90点取らなければいけなくなります。
得意科目とはいえ入試問題で90点取るだけでも至難の業ですが、私立医学部受験は現役生向きではない知識問題が出題されます。
こうした知ってるか知らないかだけで勝負が決まる問題は現役生はどうしても不利になります。
この点からも得意科目で得点を上積みする難しさが伝わると思います。
よって私立医学部受験で合格を目指す場合は全科目で偏りなくボーダーラインを超える事を目指して勉強を進めなければなりません。

私立医学部受験:苦手科目の克服はコストパフォーマンスが高い

前述したように私立医学部受験ではバランスよく各科目で点数を取る事が合格への第一歩になります。
たとえボーダーラインに届かない科目があっても、最低限のマイナスでおさえなければ合格はままなりません。
この点は他学部受験と違う私立医学部受験ならではの難しさと言えます。
そしてバランスよく点数を取るためには当然苦手科目の克服に力を入れなければなりませんが、苦手科目を克服するための勉強は得意科目を上積みする勉強よりもはるかにコストパフォーマンスが高いと言えます。
浪人生向けの知識問題も出題される私立医学部受験において、相応の高得点を取るためには時間のある浪人生が隅から隅まで勉強して覚えるような知識を習得する必要があります。
一方苦手科目でボーダーライン付近の点数を取るのであれば、基本~標準レベルの問題を解いていくことで可能です。
後はその基礎から標準レベルの理解が現状足りていないわけですから、それを各々の生徒の状況に合わせて習得させればいいわけです。
80点取れる得意科目を90点取れるようにするため隅から隅まで難問を含めた勉強をするよりは、基本問題をしっかり理解させ苦手科目を50点から70点に引き上げるほうがコストパフォーマンスが高いというのはそういった理由からです。

 

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医学部専門家庭教師の眼~浪人生の私立医学部受験

私立医学部受験というのは極めて特殊な受験です。
さまざまな角度から問われる問題を高速かつ確実に高得点に結びつけなければならないという合格の難易度の高さはもちろんの事、なにより受験者の層が特殊です。
受験者の層が特殊・・・それは受験者の大半がある意味で医学部受験を宿命づけられているという点です。
早くから駆り立てられるように勉強を開始しているお子様もいれば、自分の進みたい道をわかりながらもなかなかエンジンがかからないお子様もいます。
何とか跡取りを・・という親の気持ち子知らずで全く言う事を聞かず、浪人して初めて目覚める生徒もいます。
医師であるお父様、お母様は厳しい医学部受験をすでに乗り越えています。
しかし、お子様は現段階で当時のお父様、お母様のように医学部受験を乗り越える知識、意欲を持っているとは限りません。
これから医学部受験に臨むお子様たちは、例えば、中高6年間の学校生活を楽しみ過ぎてしまい医学部受験に向けた勉強のスタートが遅れてしまったり、タイミング悪く反抗期を迎え大事な時期に親御さんの言う事に耳を貸さなくなってしまったり、あるいはあまりに膨大な勉強量に嫌気が差してしまったり、成績の伸び悩みに自分の限界を感じてしまったり・・・様々な点から成績の下降やモチベーションの低下という状況に陥りがちです。
思い当たる部分もあるのではないでしょうか?
このような状況下で医学部受験を迎えると浪人という結果になります。
親御様の言う事に耳を貸さない、人の助言が耳に入らない、自己流の勉強やダラダラした勉強が通用するほど医学部受験は甘くありません。
浪人となったことではじめてその点に気づく受験生も少なくありません。

医学部受験において浪人生が有利な点

・時間的ゆとりがある。
・自己流の勉強で失敗しているケースが多く、それだけ伸びシロがある。
・医学部受験当日の独特な緊張感を経験済みである。
医学部受験当日の独特な緊張感を経験済みである。
上記三点が現役生に比べ、浪人生の有利な点と言えるでしょうか。
現役の受験生と比較して浪人生の受験に割ける時間の多さは間違いなく有利な点です。
ダラダラと過ごさず現役生と同じ時間に目を覚まし勉強に取り組むことが出来るという条件付きではありますが、少なくとも現役生が学校で勉強している9時から~16時までは自身の苦手分野の復習をするも自由、予備校に通うも自由です。
そして夕方~夜にかけても現役生と同様に勉強の時間を確保する事が出来ます。
さらに、受験に失敗しているだけに現役生に比べ危機感を持って勉強に取り組むことが出来ます。
また、自己流の勉強で失敗しているケースが多いため、専門家による医学部合格への対策に聞く耳を持った場合、かなりの伸び率を持っているケースがほとんどです。
医学部受験当日の緊迫感を知っているというのも現役生より明らかに有利な点です。
その空気を知っているという事で、受験当日に雰囲気にのまれてしまい実力を出すことが出来ないというケースが減少します。

医学部受験において浪人生が不利な点

・浪人しても危機感のないお子様が少なからずいる
・現役重視の私立医学部では浪人するごとに減点されてしまう
一方で上記二点が浪人生の問題点と言えます。
浪人してもまったく危機感がない生徒も少なからず存在します。
たいていの場合は「現役時代はほとんど勉強しなかったから、今年しっかりやれば受かる」と根拠のない自信を持っています。
当然、現役時同様、まわりの声にも耳を貸しません。
また予備校等で同様の考え方を持つ者同士仲良くなり危機感のなさを共有して、安心しているケースも散見されます。
しかし、この考えこそ、多浪につながる最悪の考えです。
まわりの多浪生も同じような考えで何度も何度も医学部受験に失敗しています。
「今年しっかりやれば受かる」と言っても、現役時にさえしっかりやれなかった生徒が浪人していきなり取り組み方が変わる事は稀ですし、私立医学部は現役生優遇の学校も多いため、不合格に終わった現役の時に必要であった合格点よりも上の点を取らなければなりません。
当然、勉強量も現役生であれば合格できる勉強量以上のものが求められます。
はたしてそれだけの量を現状の甘い考えでこなす事が出来るのかどうかという事になります。
結局はだらだらと時間を浪費し、翌年も同じように「今年は受かる」と言っているのが多くの多浪生の実情です。
気づけば3浪4浪です。
逆に、自分が合格にいたらなかった理由をしっかりと考えている生徒は上記のような言い訳はしません。
淡々と自分に足りなかった点を埋めるため勉強を進めます。

浪人生の私立医学部受験:まとめ

浪人という結果が出て数ヶ月はお子様にとって「自分の勉強が通じなかった」という明白な結果が突き刺さっている時期でもあります。
この時期こそ、お子様が次回の医学部受験に向け、人の意見を取り入れる可能性のあるチャンスなのです。
「この先どうやって勉強を進めていいかわからない・・・。」
「実は助けを求めていたが、意地になっていて言い出せなかった・・・。」
浪人直後に話を伺った多くの生徒から、上記のような返答が返ってきます。
実際はこのままではいけない事を生徒自身で分かっていたケースが大半なのです。
一度、SOSを出してくれた生徒は驚くほど医学部受験に対する姿勢が変化します。
これではじめて医学部受験を突破するスタートラインに立ったと言えるのです。
あとは医学部受験合格に向け、基礎的分野であちらこちらに開いている穴を補強し、必要な知識を様々な角度から問われても解答できるよう定着させ、合格に向けどの教科で何点貯金し、苦手な教科は何点取ればいいという綿密な得点作戦を立て、お子様のタイプに適した志望校の選定を行います。

 

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医学部専門家庭教師の眼~現役生の私立医学部受験

現役生の医学部受験は勉強への取り組み方、勉強の進め方が学年によって変化します。
以下に各学年におけるおおまかな必要事項をまとめます。

医学部受験への取り組み方:中学生~高校1年生にかけて

この時期に最低限身に付けたいことは日常的にコツコツと勉強する習慣です。
中学受験を終えたばかりの中学一年生の時期に、受験の反動から勉強をまったくしなくなるお子様がチラホラと現れます。
この状態を長く続けてしまうと当然の事ながらお子様の能力は錆びつきますし、勉強習慣を取り戻すのにも相応の時間がかかってしまいます。
時間的にも精神的にもゆとりのあるこの時期に少しでも早く勉強習慣を取り戻すようにしましょう。
勉強習慣を取り戻すことが目標ですから近くの塾に通っても良いですし、塾では勉強に身が入らない性格であれば家庭教師を考えても良いでしょう。
その場合はプロ講師よりも、一緒に楽しく勉強できる学生講師の方が向くと思われます。
勉強習慣がある程度身に付いている場合は基礎の徹底です。
難しいものに手を出す必要はありません。
現在の医学部受験では広範囲に基礎力を問う傾向が強まっているため、この時期にしっかりと土台を作っておく事がそのまま合格への近道となります。
まずは、学校のテキストや塾の教材をしっかりとこなしましょう。
この時期は苦手科目を作らない事がなにより重要です。
一生懸命学校のテキストをこなし、塾に通っているのに成果が上がらない場合は復習のやり方がわかっていないか、塾が合っていない可能性が考えられます。
その場合はお子様の苦手分野をお子様のペースにあわせて指導できるプロ家庭教師を検討しても良いかもしれません。
早期の始動は当然、時間の限られた医学部受験では大きなメリットになります。

医学部受験への取り組み方:高校2年生

本格的な受験シーズンを迎える前のこの時期は、時間的にも精神的にもまだ多少のゆとりをもって、苦手分野の復習に時間を割ける1年となります。
言い換えると、苦手教科に腰を据えて取り組める最後の1年とも言えます。
この1年の過ごし方は現役での医学部合格という観点からは非常に重要な意味を持ってきます。
予備校で伸びている教科はそのまま自信を持って邁進して下さい。
家庭教師は必要ありません。
逆にある程度の期間予備校に通っているにもかかわらず成績が伸び悩んでいる科目は早急に手を打つ必要があります。
予備校のカリキュラム上、お子様の苦手分野を見つけ出し、穴埋めをしている時間はありませんし、お子様が苦手分野を克服する事を待っていてはくれません。
一度穴が出来てしまうと、予備校の自動的に進んでいくカリキュラムでは取り戻すことは非常に難しくなります。
苦手は苦手のまま放置され、次々と授業が進んでしまう。
その時その時の予備校の予復習に追われていると、自宅学習で苦手分野の強化に取り組むことはなかなかに難しいものです。
結果として、成績の伸び悩みや偏差値の下落につながります。
偏差値の停滞や下降が見られる場合は、弱点の発見→補強を無駄なく進めていく事が重要です。
そして、その作業はお子様だけに合わせて指導できるプロ家庭教師が最適です。
ただし、プロ家庭教師の中でも医学部受験に精通している講師でなければ意味がありません。
残念ながら学歴はあっても医学部受験の現状を認識していないプロ講師というのは存在します。
そうした講師は医学部受験に必要のない的外れな指導を行ってしまう可能性があるため注意が必要です。
高校2年生までに必要なことは、予備校で問題なく進めていける科目と家庭教師が必要である科目をしっかりと認識する事です。
その認識の有無でこの先の受験勉強の進捗スピードに大きな差が出てきます。
予備校で伸び悩んでしまっている苦手教科は日を重ねるにつれ勉強時間を圧迫します。
苦手教科の内容をなかなか理解できずテキストとにらめっこする時間が増えると得意科目の勉強時間が取れなくなってきます。
そして、最終的に必要な知識を身に付ける前に受験を迎えるという事になりかねません。
そういった点からこの時期の勉強方法の見直しは大きな意味を持ってきます。

医学部受験への取り組み方:高校3年生

医学部受験までに残された時間はわずかです。
苦手科目を残した状態で高校3年生を迎えてしまったのであれば、その科目の克服に無駄な時間をかける事は許されません。
時には「苦手科目はここまでしか点数をとらなくていい」という勉強に切り替え、得意科目の強化を図ったほうが良いケースもあります。
ここはお子様の状況、志望する医学部に合わせてケースバイケースで進めていくことになります。
そしてこの段階で初めて志望校に合わせた得点計画を考えていくことになります。
得点計画を立てたらあとはお子様にとって必要な項目を最短距離で埋めていく必要があります。
いわゆる志望校別対策です。
学校別の対策は予備校でも行いますが、お子様が苦手としている部分に的を絞って指導できるのが家庭教師の利点であり、だからこそ最短距離で効率よく吸収させることが可能となります。

医学部受験への取り組み方:まとめ

以上のようにお子様の学年によって必要とされる勉強内容は変化します。
そして、お子様の状況によっても予備校が向いているのか、家庭教師が必要なのか、家庭教師と言っても学生が良いのか、プロが良いのか様々です。

 

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