医学部受験に向けて家庭教師と予備校どちらを選ぶべきか?
医学部受験での合格を目指すにあたり、大半の生徒は予備校に通う、もしくは家庭教師の指導を受ける事になります。予備校だけ、家庭教師だけ、予備校と家庭教師の併用、様々な選択肢がありますがここでは予備校と家庭教師それぞれの特徴について触れていきます。大手家庭教師センターで述べている事とは全く違う事もありますが、どちらが正しいか考えながら読んでいただければと思います。
予備校の特徴
予備校の特徴として挙げられるのは以下の点です。
①集団授業である。
②授業は年間のカリキュラムに沿って進む。
③質問に行くかどうかは生徒の積極性による。
④テキストの予復習は生徒任せである。
予備校の特徴は上記4点ですが、これは一般に言われている事と大差がないと思います。
一つずつ見ていきます。
授業の形式
集団授業に関しては個別塾はその限りではありませんが、一般の大手予備校は集団授業です。
集団授業と言っても、講師が一方的に指導を進めていくタイプの授業と、生徒と質疑応答を交えながら進めていくタイプの授業に分かれます。
自主的に勉強を進められる生徒は前者のタイプでも問題ありませんが、なかなか勉強に乗り気ではない生徒の場合は前者では成果が出ません。
いつ質問が来るかわからない緊張感のある環境を作ってあげないと、集中して授業に取り組めないケースが出てきます。
いわゆる予備校に行ってるだけで安心してしまう生徒はこのタイプです。
予備校ではみずから積極的に内容を吸収しようという心掛けが無いと成績は伸びません。
何を質問されても答えられるようにしっかり予復習をして授業に臨み、集中して授業を聞く姿勢づくりには質疑応答を交えながらの授業形式がベストです。
予備校に通っていて、成績に伸び悩みがみられる場合はまず、お子様にとってどちらのタイプの授業形式の予備校が向いているかを考えてみるとよいでしょう。
年間のカリキュラム
予備校は例外なく年間のカリキュラムに沿って進みます。
生徒の立場からすると、「自分がこの時期にここまで出来ていれば問題ない」というペースがつかみやすい反面、一度躓いてしまうと生徒が自力で何とかしないと、躓きを補う術がないという事でもあります。
暗記が中心となる生物、化学はともかく、積み重ね科目である英語、数学に関しては一つの躓きという小さな穴はのちに大きな穴へと広がります。
本来であれば「どこで躓いたか?」という事は生徒自身はその場でわかります。
しかし、予備校の予習に追われてしまうと、苦手分野の復習は後回しになりがちです。
後回し後回しを続けているとだんだんと苦手箇所が積み重なり、どこで躓いたかも曖昧になってきます。
せっかく予備校というペースメーカーがあるわけですから、それを活かすためにも苦手分野は後回しにせず、すぐに対処することが望ましいと言えます。
予備校での質問
予備校で授業を受けている生徒の大半は授業だけですべてを理解しているわけではありません。
当然、授業中に聞き漏らした部分や不明瞭な部分も出てきます。
それを補うのが講師への質問です。
しかし、質問に行けるかどうかは生徒の性格にもよります。
講師にでも遠慮なく質問に行ける生徒もいれば、シャイでなかなか質問に行けない生徒もいます。
後者の場合は当然、理解不十分な状態を放置して、予備校のカリキュラムが進んでしまうわけですから、良い状況とは言えません。
テキストの予復習
これは通っている予備校が講師、生徒間の質疑応答がないタイプの授業形式の場合に特に見られる傾向ですが、予復習をしていなくても、それを咎める人間がいないため、テキストの予習もせずに授業に出ている生徒が少なからずいます。
当然しかっりと予復習をして授業に臨んでいる生徒とそうでない生徒の間では同じ授業を受けていても理解度が変わってきます。
予備校に通っていても成果が出ていない場合は、授業前の予習をおろそかにしているケースが多々ありますので、そのあたりを見直してみると良いと思います。
ただし、すでに予備校についていけていない生徒の場合は予復習以前に苦手分野を補ってあげないと手遅れになるケースもあります。
大手センターが定義する予備校に向いている生徒とは?
大手家庭教師センターでは予備校に向いている生徒を以下のように定義しているケースが多いようです。
①基礎が出来ている。
②勉強のやり方がわかっている。
③志望している医学部に偏差値が達している。
上記の3点は教育の現場に立っていない人間が作り上げた定義である事が伝わってきます。
こちらも一つ一つ見ていきましょう。
基礎が出来ているか否か?
予備校に入った時点で全ての生徒が十分な基礎力を持っているとは限りません。
しかし、伸びる生徒は伸びますし、伸びない生徒は伸びません。
上記の定義では基礎が出来ていないのに伸びる生徒がいる点は説明がつきません。
勉強のやり方がわかっている
勉強のやり方がわかっている生徒など存在しません。
全ての生徒が自分の勉強法で間違っていないか不安を抱えながら、試行錯誤の勉強をしています。
そもそも勉強のやり方がわかっているのであれば予備校に通う必要さえありません。
赤本と問題集を使いながらの独学で十分なはずです。
この「勉強のやり方がわかっている」という言葉などは、実際には勉強をしてこなかった人間が机上の空論で作り上げた言葉と言い切って良い言葉です。
志望している医学部に偏差値が達している
予備校では偏差値が達している生徒しか医学部に受かっていないのか?というと当然そんなことはありません。
偏差値が足りていなくても予備校で成果を出して、最終的に医学部合格を勝ち取る生徒はいくらでもいます。
大手家庭教師センターでは上記の定義を充たしていない生徒が家庭教師にむいているタイプと煽る傾向にあるようです。
しかし、今述べたように、上記の定義を充たしていなくても予備校で成績を上げる生徒はいます。
では、それを踏まえた上でどういったタイプの生徒が家庭教師で伸びるのかを考えていこうと思います。
本当の意味で「家庭教師で伸びる生徒」とは?
根本的な部分として、「医学部に合格したい」という想いが生徒本人になければ家庭教師向きではありません。
押しつけの勉強では成績は伸ばせないので、「医学部に合格したいと思っているが伸び悩んでしまっている」という前提で話を進めます。
予備校で伸び悩んでいる生徒はすべて家庭教師向きではない
予備校で成績が伸び悩んでいるからと言って、安易に家庭教師を考える必要はありません。
たとえ入塾時に基礎が出来ていなくても、志望している医学部に偏差値が足りなくても予備校で伸びる生徒は伸びます。
ただし、そうした状態から結果を出す生徒には共通点があります。
その共通点とは”目先の勉強にこだわらず、自分の出来ていない分野を必死に勉強している”という点です。
当然、予備校の予復習もこなした上でです。
生徒本人にとっては予備校の勉強も進めながら苦手分野の勉強もしているわけで、これは時間的にも体力的にも大変な負担になります。
時間を効率よく使う事に長けている生徒、体力的に強靭な生徒の場合、この負担に負けず苦手分野の強化が予備校のカリキュラムに追いついてくるに従い成績は加速度的に上がり始めます。
もし、お子様が苦手分野の勉強を場当たり的にではなく、計画立てて進めているのであれば予備校でもうしばらく様子を見るという選択肢も考えられます。
ただし、この方法で予備校のカリキュラムに追いつくためには時間がかかるため、医学部受験まで時間の残されていない高校3年生や浪人生には現実問題、難しいかもしれません。
では家庭教師で伸びる生徒とは?
上記のような苦手分野の復習に対して、やる気はあっても何をやっていいかわからない生徒や勉強量はこなしているがどうにも勉強の効率が悪い生徒、こうした生徒は家庭教師で大きく伸びる生徒と言えます。
なぜならやる気があるという事は医学部合格に向けて、正しい方向を示す事さえできれば真っ直ぐに伸びてくれるからです。
予備校で伸び悩む理由は、予備校では合格までの道をどのように進むべきかの方針を全体的には示す事は出来るが、生徒個々に合わせては指示を出せないためです。
伸び悩んでいる生徒にとっては、どの部分から自分が躓いて、それを改善するために何をどれだけやればいいか、そして、医学部受験までの残された時間でどのように勉強をしていけばいいかがわからないのです。
いうなれば予備校は医学部合格というゴールの大まかな方向は示してくれるが、そこにたどり着けるのは方向感覚の優れた生徒であり、道に迷ってしまう生徒はそのまま迷い続ける、つまり不合格という結果が待つことになります。
対して、志望校合格に向けた知識を生徒それぞれの状況に合わせて効率的に補強し、合格への最短距離をその都度示す事に関しては家庭教師こそが最適です。
その指示は志望校に向けた受験対策から、課題の量、課題のこなし方にまで至ります。
これは予備校では難しい部分です。
医学部受験、家庭教師と予備校どちらがベストか?
家庭教師で進める、予備校で進める、家庭教師と予備校の併用で進める、いろいろな方法がありますが正解と言えるものはありません。
ただし、自分で勉強を進めていける得意教科に関しては家庭教師は必要ありません。
苦手科目に関しても医学部受験まで時間のある中学生から高校1年生くらいまでで、生徒本人が色々と考えて苦手教科に勉強時間を割いているようであれば、予備校で伸びる可能性も十分あります。
ただし、苦手科目をより短期間で効率よく解消するには家庭教師の方が適任ではあります。
逆に、1年以上予備校に通っているのに伸びが見られない科目のある生徒や、勉強の仕方に一貫性がなく場当たり的な勉強ばかりしている生徒の場合は、予備校で伸びる要素が薄いので、生徒に合わせた勉強法や対策を組むことの出来る家庭教師がベストと言えます。
以上の点から家庭教師と予備校を見比べてみると今後の進め方も見えてくると思います。